猫の避妊・去勢手術の流れや実際に支払った費用について詳しく解説しています。不妊手術をするうえでのリスクや注意点などもまとめています。避妊手術後の2週間の記録も掲載しているので参考にしてください。
猫の避妊・去勢手術は何故しないといけないのか
飼い猫の場合、メス猫の避妊手術やオス猫の去勢手術をする最大の理由は「多くの病気を予防できるから」です。
必ず不妊手術をしないといけないという訳ではなく、当然不妊手術をしないという選択肢もあります。
ただ、将来的に赤ちゃんを産ませることを考えていない場合は、病気のリスクを考えた上で不妊手術を行った方が良いと考えられています。
- 乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう) 対象:主にメス
発情でホルモン分泌で乳腺が刺激されると発症する可能性のある病気 - 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう) 対象:メス
子宮に膿がたまってしまう病気 - 卵巣腫瘍(らんそうしゅよう) 対象:メス
持続発情、骨髄毒性、皮膚病などの症状が出て、大きくなると多臓器を圧迫して様々な症状がでる - 精巣腫瘍(せいそうしゅよう) 対象:オス
睾丸(きんたま)にできる腫瘍 - 前立腺炎(ぜんりつせんえん) 対象:オス
前立腺に細菌が感染して炎症を起こす病気 - 感染症(かんせんしょう) 対象:メス・オス
猫カゼ、猫エイズ、猫白血病ウイルス…など主に猫同士のケンカなどで感染してしまう病気
死に至るような重い病気もあるので、飼い猫と長く一緒にいたいと考えるのであれば不妊手術を視野に入れるのは自然ですね。
獣医さんや専門家の意見
ほとんどの獣医師さんが病気のリスクを考えると避妊・去勢手術は賛成でしたが、「自然の摂理に反する行為」として不妊手術に反対する獣医師さんもいらっしゃいました。
また今では飼い猫の避妊・去勢手術は当たり前になり、飼い主からすると日帰りの簡単な手術と思われがちですが、猫にとっては「本当に大掛かりな大手術になる」とも教えていただきました。
確かに人間(飼い主)の勝手な都合により、自然のものを取り除くという行為は、正しいのかどうかと考えさせられました。
しかし、飼い猫に病気で苦しんでほしくない、少しでも一緒にいたいと思う気持ちがあるのであれば(私個人の考えですが)避妊・不妊手術に積極的になってもいいと思います。
動物病院・獣医師さん選び
これは私が実際に経験したことですが、動物病院や獣医さん選びはかなり慎重に検討したほうが良いと思います。
初めに通っていた動物病院の獣医さんに避妊手術を相談してみたところ、事前の検査もなくいきなりの手術が可能とのこと…
前述しているように、避妊手術や去勢手術の考え方は獣医師さんによりかなり異なります。
ただ検査がないというのは正直不安に思い、色々と調べた結果『事前の検査は行った方が猫ちゃんの安全性が高まる』とのことだったので、検査がある評判の良い動物病院に変更しました。
実際の血液検査の結果
ほとんどの病院が検査費用は別途になるとは思いますが、愛する猫ちゃんが安全に手術に臨めるようにしてあげたいですよね。
実際に不安に思うことを電話やメールで問い合わせると、どの動物病院も親切に教えてくれるので、飼い主さんが本当に納得できる病院を選んであげましょう。
猫の避妊・去勢手術にかかる費用
猫の避妊・去勢手術にかかる費用は病院により異なります。
- メスの避妊手術の費用は20,000~40,000円が相場
- オスの去勢手術の費用は10,000~25,000円が相場
メスの避妊手術よりもオスの去勢手術のほうが、比較的に簡単なため金額もメスの避妊手術の方が高くなっています。
動物病院により事前検査費用も別途必要になる場合もあります。
ちなみに、我が家のモモが行った避妊手術にかかった費用は27,000円でした。
ここから検査費用が6480円(初診代1080円含む)がプラスでかかっているので合計で33,480円でした。
助成金が使える場合もある
これは獣医師さんに教えてもらったことなのですが、市町村によっては避妊・去勢手術に助成金が出る場合もあるようです。
助成金は市町村や都道府県に設けられている獣医師会から降りますが、条件は地域によりバラバラです。
野良猫にしか助成金が出ないものや、オスとメスで金額が違う都道府県もあります。
おおよそ5,000円~10,000円が助成金の相場になるようですが、実際に住まれている都道府県の獣医師会や動物病院に確認してみてもいいかもしれませんね。
避妊・去勢手術はいつすればいい?
一般的には避妊・去勢手術を受けれる時期はメスが生後6ヵ月~8ヵ月、オスが6ヶ月~10ヶ月ぐらいが良いとされていますが、最も良いのは発情期を迎える前が理想とされています。
※あくまで目安です | メス | オス |
手術の時期 | 6ヶ月齢~8ヶ月齢 | 6ヶ月齢~10ヶ月齢 |
性成熟の時期 | 6ヶ月齢~12ヶ月齢 | 6ヶ月齢~10ヶ月齢 |
生後6ヶ月以降であれば、発情期の前で体力も付き予防接種も終わっているためです。
しかし猫の体重や発育の個体差でも変わってくるので避妊・去勢手術を受けて良いタイミングは獣医師さんに相談してみましょう。
また不妊手術の明確な適齢期は決まっていないため「1歳以上にならないとオスの去勢手術はしてはいけない」とおっしゃられる獣医師さんもおられます。
分からない場合は別の獣医師さんの意見も聞いて総合的に考えるのが良さそうです。
ちなみに、我が家のモモ(メス)はちょっと遅めの約9ヶ月目に避妊手術をしました。
避妊・去勢手術でどんなメリットがあるの?
避妊・去勢手術の一番のメリットは「病気の予防ができるため」ですが、それ以外にも様々なメリットがあります。
完全室内飼いの場合はありませんが、外飼いの場合は望まない妊娠を避けることができます。
また繰り返す発情期のストレスをなくしたり、発情による大きな鳴き声の抑制(メス)、尿をまき散らすスプレー行動の改善(オス)などなど。
その他にも性格が変わり甘えん坊になり優しくなるという子も多いですね。
- 病気の予防
- 望まない妊娠を避ける
- 発情期のストレスをなくす
- 大きな鳴き声の抑制(メス)
- スプレー行動の改善(オス)
- 甘えん坊で優しくなる
飼い主からすると「甘えん坊になる」というのはとても嬉しいことですね。
ただ、本来は避妊・去勢手術では性格の変化はないとされています。
男の子の場合は攻撃性がなくなるので、優しく見えるようになるというのが本来の意味のようです。
外でのケンカがなくなれば、感染症予防にもなりますね。
避妊・去勢手術の危険性や注意点
避妊・去勢手術のデメリットはあまり見当たりませんが、強いて言うなら発情によるエネルギーの消費が少なくなり太りやすくなる子もいるみたいです。
手術による危険性や注意点に関しては、全身麻酔のリスクがあります。
獣医師さんの話によると特に高齢になればなるほど麻酔のリスクは高くなるとのことでした。
モモが避妊手術を行った病院では、数万頭の犬・猫の不妊手術をしてきた中で、1頭のワンちゃんだけが高齢のため麻酔から目を覚まさなかったという話を聞きました。
確率的には数千、数万分の1かもしれませんが、全身麻酔のリスクは必ずあるということを理解しておきましょう。
年齢や健康状態に不安がある猫ちゃんの場合は、しっかりと獣医師さんに相談することも大切です。
モモ避妊手術の全経過【まとめ】
それでは実際にモモの避妊手術の全経過を記事に残しているので紹介していきます。
手術当日から抜糸までの2週間の実録です。大変だったことや気付いたことを各記事にしているので併せて参考にしてくださいね。
【1日目】餌を食べないし水も飲まない
避妊手術が無事に終わり、お迎え行った時に待合室で待ってたら奥の方から、野良猫が大声で怒っているような「ヴーーー」という鳴き声が聞こえてきました。
それが後でモモだと聞き、かなり驚きました。普段は本当におとなしい子なのに…相当嫌な思いをして、パニックになってたんだろうな…
お家に帰ってきたモモは元気がゼロ、体力もゼロになっていました。。
ご飯も食べないさらに水も飲まないで、動かないでずっと横になっています。(めちゃくちゃ心配)
でも先生いわく2、3日で元気を取り戻すとのことだったので、とりあえず1日目は様子を見ることにしました。
【猫の避妊手術後1日目】餌を食べないし水も飲まない|ブリティッシュショートヘア
【2日目】傷口が赤い?腫れや痛みの状態は?
2日目になり当日より少し体力が戻ったようにも思えます。
動き回ることはなかったですが、寝たきり状態が、座ってみたり、ケージの2段目やハンモックに乗ってみたりと、、少しだけですが動けるようになったみたいでよかったです。
傷口は血がにじんで腫れているようにも見えましたが、皮膚がたるんでいるだけでした!(写真はありますが、ちょっぴりグロいので載せないことにしました)
【猫の避妊手術後2日目】傷口が赤い?腫れや痛みの状態は?|ブリティッシュショートヘア
【3日目】安静期間はいつまで?
先生がおっしゃっていたように避妊手術3日目になり本当に回復してきました。
甘えてくるような仕草を見せたり、窓際でニャルソックをしたり、少しだけウロウロしてみたり…とかなり安心しました。
ご飯も少しは食べるようになってきましたが、エリザベスカラーを付けているので食べにくそうです。
避妊手術後の安静期間ですが、手術の方法や猫の性格により異なります。獣医さんにより意見も違う場合もあるので日頃の飼い猫の行動を伝えたうえで手術をしてもらった獣医さんの意見に従うようにしましょう。
【猫の避妊手術後3日目】安静期間はいつまで?|ブリティッシュショートヘア
【4日目】甘えてくる性格になった説が浮上
手術後4日目になり食欲が戻り普段通りの量を食べれるようになりました。カラーにも慣れてきた様子。
ご飯の用意をしているとキッチンまでテクテクと来てくれるようになったのも回復している証拠。
走り回ったりはしませんが、1日目とは比べられないほど元気になっています!
そして性格の変化も現れました!なんとパパの膝の上に自分から乗ってきたのです!抱っこと触られるのが嫌いなモモだったので驚きの行動です。
「不妊手術後に性格が変わって甘えん坊になる」というのは本当だったようです。
【猫の避妊手術後4日目】甘えてくる性格になった説が浮上|ブリティッシュショートヘア
【5日目】トイレの失敗で大変なことに…
5日目はトイレで失敗をしてしまいました。ただ、手術後に体の調子が悪くなってトイレで失敗をしてしまったわけではありません。
避妊手術後の傷口を舐めるのを防止するために付けているエリザベスカラーのせいで、前が見えづらくなったための失敗です。
うんちがケージの中で散らばってしまい大変!!
次からは「モモがウンチをする気配がしたらトイレの横で見守る」ということを心掛けるようにしました。
エリザベスカラーは、透明タイプのカラーとソフトタイプのカラーどちらがいいのかを比べてみたので下記の記事も参考にしてくださいね。
【猫の避妊手術後5日目】トイレの失敗で大変なことに…|エリザベスカラー比較
【6日目】服じゃなくエリザベスカラーが正解だった!?
6日目になるとほぼ体力を取り戻して元気になっています。
初めはご飯を食べにくそうにしていたエリザベスカラーもかなり慣れてきた様子です。
なんといっても寝る時にカラーが良い感じの枕になってるのがGOOD!
エリザベスウェア(術後服)というのもありますが、ワンちゃんとは違い猫ちゃんは服が嫌いな子が多いと教えてもらったのでウェアを避けてカラーを選びました。
しかもこのカラーはとてもキュートです。(これは飼い主の自己満)
【猫の避妊手術後6日目】服じゃなくエリザベスカラーが正解だった!?|ブリティッシュショートヘア
【7日目】令和の奇跡!性格が変わるのは本当だった?
術後1週間の7日目を迎えて令和の奇跡が起きました!
4日目の記事でも書いていますが、抱っこ嫌いで触られるのも嫌いなモモが家族全員の膝の上にぴょこと飛び乗ってきました。
普段は静かなパパの膝の上に乗るのは分かりますが、ワイワイうるさい子供たちの膝の上にも・・・これは流石に性格が変わったとしか言いようがありません。
ホルモンバランスの変化で(かどうかは分かりませんが)甘えん坊になるというのは本当だったんですね!
【猫の避妊手術後7日目】令和の奇跡!性格が変わるのは本当だった?|ブリティッシュショートヘア
【8日目】トイレの失敗が再び
7日目の夜から8日目にかけてモモの体力は、ほぼマックスに近い状態になりました。
急に走り回るようになり、傷口の心配は少しありましたが、もうここま回復したら安心ですね。
しかし、トイレでの二度目の失敗をしてしまいました。モモがウンチを踏んでしまったうえにカラーにもウンチが付いてしまっててんてこ舞いです。。
替えのカラーを用意していて本当に良かったです。
【猫の避妊手術後8日目】トイレの失敗が再び|ブリティッシュショートヘア
【12日目】完全に回復!階段ダッシュも余裕
12日目になるとリビング以外にも廊下と階段も開放してあげました。
凄まじい勢いで階段ダッシュ!!ここまで来たら完全回復といってもいいでしょう。
廊下にダンボールを置いてあげるとずっとダンボールの中にいたので、よほど嬉しかったのだと思います。
術後も順調なので次は抜糸をして、やっとエリザベスカラーの卒業です。
【猫の避妊手術後12日目】完全に回復で階段ダッシュも余裕|ブリティッシュショートヘア
【15日目】抜糸にかかる時間や日数は
15日目はいよいよ抜糸です。
避妊手術に使う糸によって抜糸の時期は違いますが、モモの病院では2週間後が抜糸になります。※抜糸が必要のない吸収性の糸もあり
抜糸にかかった時間はおよそ1秒・・・本当に糸を抜くだけの一瞬で抜糸は終わりました。
新生モモになりシュシュタイプの新しい首輪も新調しました!
ホントは首輪が嫌いなモモですが、カラーの流れで首輪を付けたので嫌がることもありませんでした。
モモ船長…本当にお疲れ様でした!
【猫の避妊手術後15日目】抜糸にかかる時間や日数は|ブリティッシュショートヘア
エリザベスカラーについて
避妊手術後(特にメス猫は)は傷口を舐めないように「エリザベスカラー」というものを装着します。
※オスの去勢手術の場合はエリザベスカラーを付けないところも多いようです。
中にはエリザベスカラーを付けない動物病院もあるようなので、かかりつけの獣医師さんに相談してみてくださいね。
モモの動物病院では、貸し出しのエリザベスカラー(透明タイプ)に、買取り型のエリザベスウェアが選べました。
エリザベスウェアは服を着せるタイプですが、前述しているように猫は服が嫌いな子が多いということもありエリザベスカラーを選択しました。
また我が家のモモは、貸し出し用の透明タイプではなく、猫ちゃんへの負担が少ないソフトタイプのエリザベスカラーを購入して付けていました。
ただ、ソフトタイプのエリザベスカラーはとても可愛いものが多い反面、前が見えづらいというデメリットもあります。
透明タイプカラーのメリット・デメリット
- 猫から見て周りが見えやすい
- 掃除が簡単
- 貸し出しも有り?
- 首の毛が摩擦で抜ける
- ご飯が食べにくい
- 寝にくい
商品によっては首元がソフトタイプになっているものもあるので、猫ちゃんに合ったカラーを見つけてあげたいですね。
ソフトタイプカラーのメリット・デメリット
- ご飯が食べやすい
- 寝る時も負担が少ない
- 安価で可愛いものが多い
- 前が見えにくい
- 掃除・洗濯が大変
- 洗濯中は替えが必要
見た目の問題は、正直飼い主さんだけの問題です。。一番大切にしたいのは猫ちゃんが嫌がらないかどうかですね。
私が買ったおすすめカラーはコチラ 経験上(汚れてしまった時ように)予備で2つ買っておくのがおすすめです!
避妊・去勢手術についてまとめ
今や当たり前になっている避妊手術・去勢手術ですが、猫にとってはお腹を切る大手術で超一大行事です。
猫ちゃんにとっては体を壊したり、ストレスが溜まってしまうこともあるので、飼い主さんのきめ細かいケアや愛情が必要不可欠です。
家族の一員でもある大切な猫ちゃんを守るためにも、しっかりと獣医師さんと相談して猫ちゃんにとって最も良い選択をしてあげてくださいね。